Postmanの入門から精通へ:テストケースの一括実行

PostmanのRun Collection機能は、APIテストの効率を高める革命的なツールです。この機能を使えば、複数のテストケースを一括実行し、現実的なシナリオに合わせた設定を簡単に行えます。

API開発において、1つずつテストケースを実行するのは非常に時間がかかり、ストレスがたまる作業です。特に複数のエンドポイントを扱う場合、このプロセスはより煩雑になります。しかし、PostmanにはRun Collectionという強力な機能があり、テストケースを効率的に一括実行することが可能です。このガイドでは、この機能をどのように設定し、活用してAPIテストを効率化するかを詳しく解説します。

なぜ一括実行機能を使うべきなのか?

Postman.png

APIのパラメータを設定し、必要なスクリプトを書いた後、次に行うべきステップはデバッグです。しかし、1つずつ手動でエンドポイントをデバッグするのは非効率的です。特に多数のAPIリクエストが含まれるプロジェクトで、この作業は現実的ではありません。このような場合、PostmanのRun Collection機能が役立ちます。この機能を使えば、コレクション内の全リクエストを一括実行でき、時間と労力を大幅に節約するだけでなく、詳細な結果分析も可能となります。

一括実行の手順

ステップ1:コレクションの準備

まず、プロジェクト内でテストリクエストを含むコレクションを選択します。そのコレクションでRun Collectionボタンをクリックすると、一括実行を設定するウィンドウが表示されます。ウィンドウ内では、コレクションに含まれるすべてのリクエストを確認することができます。

Run Collection.jpg

ステップ2:実行設定の構成

Postmanは、一括テスト実行のカスタマイズオプションをいくつか提供しています。

Settings.jpg
  • Iterations(繰り返し回数)
    コレクション全体を何回実行するかを指定します。デフォルトは1ですが、複数回繰り返す設定も可能です。これは、負荷テストや異なるデータセットを使用したテストに役立ちます。
  • Delay(遅延時間)
    各リクエストの実行間隔をミリ秒単位で設定できます。現実世界での使用状況をシミュレートする場合、この設定が役立ちます。
  • Data File(データファイル)
    テストデータを含むCSVまたはJSONファイルをアップロードすることで、複数の動的データセットを使用したAPIテストが可能です。たとえば、ユーザー登録APIを複数のユーザー情報データでテストできます。
  • Advanced Settings(高度な設定)
    環境変数やリクエストタイムアウトなど、より詳細な設定を行うオプションも提供されています。これにより、一括実行を柔軟にカスタマイズすることができます。

ステップ3:Run Collectionの実行

必要な設定を構成したら、Run Collectionボタンをクリックして処理を開始します。Postmanは、コレクション内の各リクエストを指定された順序で実行し、設定された繰り返し回数や遅延、データファイルに従って動作します。

Click Run Collection.jpg

実行結果の解析

コレクションが実行されると、詳細なレポートが表示され、テスト結果がわかりやすい形で整理されます。レポートには以下の情報が含まれます。

Results.jpg
  • Execution Environment(実行環境)
    テスト中に使用した環境(変数や設定内容など)を表示します。
  • Execution Count(実行回数)
    一括実行中に行われた繰り返し回数を示します。
  • Total Test Duration(テスト全体の所要時間)
    コレクション内のすべてのテストケースを実行するのに要した合計時間を表示します。
  • Assertions(アサーション)
    スクリプトに含まれるアサーション(確認事項)の数と、それらの結果(成功/失敗)を提供します。
  • Average Response Time(平均応答時間)
    各リクエストの平均応答時間を表示し、APIのパフォーマンスを測定するのに役立ちます。
  • Test Case Results(テストケース結果)
    個々のリクエストがリスト化され、以下の3つのカテゴリに分類されます:
    • Passed(成功): 期待条件を満たしたテストケース。
    • Failed(失敗): 1つ以上のアサーションが期待どおりでなかったテストケース。
    • Skipped(スキップ): 意図的に実行されなかったテストケース。

レポート内の任意のリクエストをクリックすると、その詳細(リクエスト/レスポンス、アサーション、テストログ)を確認できます。

api.jpg

まとめ

PostmanのRun Collection機能は、APIテストの効率を高める革命的なツールです。この機能を使えば、複数のテストケースを一括実行し、現実的なシナリオに合わせた設定を簡単に行えます。また、詳細なレポートを生成することで、APIの信頼性を分析し、さまざまなデータセットや条件で期待どおりに動作することを確認できます。

この機能をマスターすることで、時間を大幅に節約できるだけでなく、APIテストプロセス全体の一貫性と精度を維持することが可能になります。小規模なエンドポイントのセットでも、大規模なAPIプロジェクトでも、Postmanの一括実行機能は開発者の必須ツールです。一緒にテストを楽しみましょう!